インカートクックとは?

インカートクックの基本工程

インカートクックとは、下記のフローにあるように食器単位の加熱調理を最終工程化した新しい加熱調理技術です。具体的には、食器に予め必要な食材や調味料等を盛付けておき、加熱調理工程をすべてIHクッキングカートに任せた「加熱調理ロボ」とも呼ぶべき新しい技術です。したがって、加熱調理工程はヒトの手を煩わすことはありません。ただ、冷菜などの非加熱調理物に限ってはヒトの手を煩わすことになりますが、加熱調理の時間帯に行うことで大量調理衛生管理マニュアルに示された2時間以内の提供が可能です。

インカートクックのフロー

インカートクックの原理

インカートクックには、電磁誘導加熱(IH)の原理が用いられています。具体的には、IHクッキングカートのトップレート(棚)の中に加熱調理に必要な食器の数だけコイルを内蔵させ、これに通電させることで食器中の食材の加熱が可能になります。なお、通電時の電流の強さや時間は自在に調整できることから、火力の調整が複雑に求められる炊飯まで可能です。また、この加熱調理は冷蔵庫中で行われることから、厨房内の気温は加熱調理の影響を受けることはありません。しかも、加熱調理が自動で行われることから、設備投資の縮減だけでなく人手不足の解消にも貢献できます。

インカートクック

インカートクックの衛生管理

インカートクックは、加熱調理工程が最終工程化されていることから、盛付時のヒトによる二次汚染のリスクが解消されます。しかも、この加熱調理工程にはノロウイルスの死活化条件である85~90℃で90秒以上の加熱条件を上回る、90℃で3分以上の管理基準を設けています。なお、これ以外に各工程では下記のような管理基準を設けています。

インカートクック

インカートクックの消費電力

インカートクックは、熱源に電気を用いることから、その料金が気になるところです。しかし、この熱源には料金が安い高圧電気を用いているだけでなく、下記の加熱パターンが示すように食器ごとに電流の強さや時間が異なることから、予想以上に低料金に抑えられます。弊社が実施したテストでは、1食当りの電力料金は5円に満たない結果が得られています。その意味で、固定費としての消費電力の縮減は、給食改革に欠かせない要素と言えます。
なお、平成29年に国が病院給食施設を対象に実施した調査では、電気を含む光熱水費が収入の32%余りを占めていますが、この点にメスを入れなければ給食改革は不可能です。

インカートクック

インカートクックの運用上の留意点

ニュークックサーブシステムを導入することにより、多くの効果が期待できる反面、次のような点に留意して運用することが必要です。

  1. 加熱条件の設定が食材の質量を等量としていることから、食器への盛付量が等量でなければ、仕上がりに加熱ムラが発生することがあります。この対応としては、食器への盛付作業では質量を等量にするために計量器具を用いることで解決できます。また、そのことで献立どおりの栄養供給量を提供することに繋がります。
  2. 食器の加熱熱源の遠近の違いが加熱条件に影響することから、生の食材などの火のとおりにくい食材の盛付の手順を間違えると加熱ムラが発生することがあります。この対応としては、火のとおりにくい食材はあらかじめブランチングなど一次的な加熱工程を済ませておいてから用いることで解決できます。
  3. 加熱調理の温度の限界が100℃であることから、それ以上の加熱条件を必要とする揚げ物や焼き物の加熱調理には対応できません。この対応としては、揚げ物や焼き物はIHクッキングカートで再加熱する方法で提供することで解決できます。